私的マイコンの歴史:後編

技術

1990年代になると、仕事の関係でパソコン(PC9801)を使って、システムを組むケースが多くなった。拡張スロット(ISAバス:16bit)にADCボードやインターフェース基板を使って、外部システムを管理する案件である。パソコンは本来office用であったが、上記の様に産業用としてもかなり使われていた。バブル時代の後半でもあり、企業の設備投資は盛んであった。
マイコンと云えば、着実に進化しており、32bitが主流となり、CISCからRISCへと移行し始めていた。組込み機器では8,16bitで充分機能したが、パソコンは32bit、サーバー用のCPUは64bit の物もあった。

2000年になると、Altera製のCPLD,FPGAを使用して、画像処理や波形生成の案件が増え、マイコンの処理能力不足を補う状況となっていた。これらのPLDに接した時、hardwareがsoftで作れる技術に驚嘆し、エレクトロニクス技術の進歩を実感した。言語はVHDLを使っていたが、マイコンの順次実行型ソフトと違う同時並行処理の概念に馴染むのには時間を要した。

そして、この年代は組込み機器のマイコン:microchip製のPICを を使うようになった。8bitのpic16/18F、16bitのpic24F/H、32bitのpic32mx 等である。用途が様々だったので、テーマ毎に最適なCPUを選んで使用していた。主に、携帯用のバッテリ駆動が多かったので、低消費電力仕様のPICを選でいた。

2000年中頃には無線モジュールが手軽に使えるようになり、ウエアラブル機器に組み込んで、データ収集や位置管理のシステムを作っていた。唯、周波数の低い微弱無線(300~400Mhz)が主流だったが、この年代後半には2.4Ghz帯のBluetoothやWIFIモジュールへと移行した。Bluetoothはversion2、3の頃で、電波の到達距離が2−5mの近距離通信で、消費電力もそれ程低くもなかった。私はNordicのchipを小型基板に実装して、無線モジュール化して手軽に使っていた。無線chipの中には当然、低消費電力CPUが内蔵されており、マイコンとはUARTやSPIインターフェースで接続出来た。

2010年代になると、Bluetooth4となり、パソコン周辺で使われるようになり広く普及した。同時にWIFI5が同一周波数帯域で使われており、中華製のWifiモジュールが廉価故に、急速普及した。私は一度使ったが、セキュリティの関係で使用を止めた。このESPモジュールはアマチュア間でも今も広く使われているが、私は懐疑的に見ている。とにかく、networkに繋がるものに中華製を使うべきではないと思っている。何故なら、日本の安全保障上に問題があるからである。

2010年後半、Pic24epを使う機会が増えた。理由はS/HとADCが4chanel あるので、同時タイミングでデータサンプリングが出来るからである。又、remappable-periperal機能 を内蔵しているため、I/Oの自由度が上がり、色々の機種に汎用利用出来るのも大きな理由である。CPU-clockも60MHzあり、組込み用途には充分である。他メーカーのCPUを全て知っている訳ではないが、ADCが一個で複数のアナログ入力をmultiplexしている物が多い。

2020年代の現在、Nordic製のnRF52xxxを搭載したBLE5モジュールを使うことが増えた。このRFchipはCPUがARM-cortexM4を内蔵しており、Nordicの開発環境を使用すれば、技適を保持したまま、I/Oを自由に使うことが出来る。UARTもしくわSPIインターフェースでマイコンと接続出来るfirmware内蔵typeのモジュールも販売されている。このBLE5モジュールは低消費電力で通信距離も長く、何より通信が安定している。

私は現在このBLE5モジュールを使って、AOA,AODに挑戦しようと考えている。大手メーカーで既に取り組んでいる処も多いが、未だ開発途上で、完璧なシステムは発表されていない。