油絵具の3原色だけで彩度の高い絵を描く

趣味

油絵を書き始めた頃、最初は12色位から始めるのが無難だと聞いていたが、この中には私の嫌いな色が結構含まれていた。アイボリーブラック、イエローオーカー、バーントアンバー、サップグリーン等である。唯、この時期は油絵具に対する知識が浅かったので、気にしながらも使用していた。 当時はホルベイン、クサカベ、マツダ(quick) 等の国産絵具を時に応じて使っていた。

水彩画を書いていた頃はウインザーニュートン(w&n)のアーチストウオーターカラー.ハーフパンの12色セットを使っていた。この事も有り、国産からw&nのアーチストオイルカラーに乗り換えた。 始めは赤色系、青色系、黄色系を適当に選んでいたが、或る時カタログを見て、3色混色法と6色混色法が有ることを知った。
最近になって、もっと彩度の高い絵を書いてみようと思い、w&nの3色混色法を再認識した。アーチストオイルカラーの3原色を使って、全ての色を表現することは出来ないが、素人が描く程度の絵には充分である。とにかく、鮮やかな色合いの油絵を描くのが目的である。

w &n3原色とは次の3色で、全てが透明色である。
トランスペアレントイエロー
パーマネントローズ
ウインザーブルーレッドシェード

最重要ポイントは透明色であることが必要である。原色と原色を混ぜると2次色になり、原色と2次色を混ぜると3次色になる。つまり、この3色を幾ら混ぜても、3次色以上には濁らないと云うことである。彩度の高い絵を描く事が出来る。

注意点がある。それはトランスペアレントイエローの使い方である。 何れの色も透明色なので、原色同志を1:1で混色すると、中間色になると考えがちであるが、赤と青に比べて黄色は色の強さ?が弱い。即ち、同一比の混色では黄色が負けてしまって、中間色にはならない。この場合、不透明色のホワイトを少量混ぜて、他の色と混色する必要がある。


w&nのカタログから撮影転載

上記三原色だけでは油絵は描けない。ホワイトが不可欠である。以前、トランスペアレントホワイトを使用したことがあったが、特殊な場合に限って使用するものだと認識させられた。この色はチューブからパレットに出した状態では白く見えるが、キャンバスにのせると下の色に負けてしまって、白色に見えない。従って、 私はチタニウムホワイトを使用しているが、これは不透明色である。

油絵具の場合、色を薄めるには白色を混ぜるか、オイルで薄めるしかない。薄塗りの絵の場合はオイルで良いが、厚塗りの絵の場合は白色を混ぜることになる。油絵の場合、私は薄塗りの絵があまり好きではないので、どちらかと云えば厚塗り派である。 下地のキャンバス目が見えるのが嫌いなので、当然ではあるが、最近は油絵用のオイルペーパーやMDFボードにアクリルジェッソを下塗りして キャンバス代わりに使用している。

私の絵を見て、絵画クラブのメンバーから 、「この絵はアクリルで描いたの?」 と言われたことがあり、彩度はアクリルのように鮮やかである。油絵のように見えない絵も、たまには気分が変わって良いものである。唯、注意しなければならない点が有る。それは彩度のある絵に合ったモチーフを選ぶ必要がある。選択を間違えると稚拙な絵になってしまうからである。私の場合は主として、風景画、静物画を描いているが、この3原色絵具を使うと、5月頃の若葉の鮮やかな空気感や紅葉の時期に感じる爽やかな色合いの風景を作り出すことが出来る。