自分で額縁を作るのには理由が有る。油絵額が高額なこともその一つだが、自分の絵が立派な額縁に入る程の価値が無いと思っているのが最大の理由である。額縁の力を借りて、絵を良く見せようと云う気持はない。唯、額縁が無いと展示が出来ないので、必需品ではある。
以前、ホームセンターで購入できる角材を使って、フレームを作ったことがあった。しかし、塗装がお粗末で人に見せる程の物は出来なかった。そこで、Larson-juhl製のピクチャーモールディング(額縁の枠になる棹材)を買って、 キャンバスサイズ毎に自作している。塗装済みなので、四隅を45度にカットして、木工ボンドで接着すれば充分実用になる。アクリルパネルは画材屋でカットしてもらい、一応の体裁も整えることが出来る。しかし、昨今コロナの影響で、宅配便が個人宛に対応せず、入手が困難になった。
そこで、一石二鳥の方法を思い付いた。先ず、麻キャンバスを止め、オイルペーパー(油絵用画用紙)とMDFボードにし、水彩画用額縁かデッサン額縁に入れる方法である 。油絵用画用紙は水彩額に入れることが出来、MDFボードはデッサン額のサイズに合わせてカットすれば、どの様なサイズにも対応出来る。MDFボードはt=5.5mmを使い、両面にアクリルジェッソを塗布すれば油絵も描くことが出来る。布キャンバスの目地が気にならず、描き心地が抜群で、思わぬ発見であった。
水彩額はF10号までとし、デッサン額は三三までとしている。通常、このサイズまでなら、¥4000〜¥6000までの価格だが、これ以上の額縁は倍以上になるからである。 この価格に拘る理由は油絵額の自作ではこの金額で製作出来たからである。少額年金生活の高齢者にとって、油絵は結構費用が掛かる代物である。 生活費に困窮する様になれば、先ず最初に辞めるべき趣味かも知れない。ケチ臭い話になったが、少額年金生活とはそう云うものと理解する必要が有る。